2020年8月28日金曜日

首相2ケ月半ぶりに会見 コロナを格下げし感染防止軽視は許されない

 安倍首相28日夕刻、約2ケ月半ぶりに正式な会見を行うということです
 国会を開かず国民への説明を無視しつづけたこの期間に、沖縄を始め大都市圏東京、大阪などで感染が拡大して「第2波」に突入しました。都市部では軽症・無症状者の療養用ホテルの確保が大きな問題となり、自宅待機者による家庭内感染が広がりました。
 何よりも世界の多くの国で検査拡充が図られるなか、日本では第1波と同様に、「症状があるのに検査してもらえない」という人が続出しています。何の改善もなかったのでした

 保健所は戦前、結核感染防止を目的に国が各地に沢山設置したのですが、この20~30年間、自民党政府は「合理化」の名のもと保健所の数を大いに削りました。その結果、たとえば「多摩府中保健所」は武蔵野市、三鷹市、府中市など6市の住民104万人を扱い、住民数92万人を擁する世田谷区もたった1つの保健所で対応しています。
 そうした事情を承知していながら、厚労省は依然として保健所をPCR検査の窓口にしているので、電話を50回掛けないとつながらなかったり、つながってもPCR検査を認められるのが1~2%というような事態が、第1波と同様に生まれているのです。

 国がこの2ヶ月半の間にしなければならなかったことは山ほどあったのですが、政府・自民党はそれには触れず、ひたすら「病を押して対策にあたるリーダー」像を演出するだけです。そういうことで無為無策が許される筈はありません。

 ところで今日の会見では、ワクチンの確保のために予備費を計上することや雇用調整助成金の特例を年末まで延長する件などを表明するとみられていますが、一部ではコロナを「指定感染症から外す」「現在の2類からインフルエンザ相当の5類にまで引き下げるのでは」という声出ています。
 指定感染症から外すことになれば、いまは公費で賄われている入院費に自己負担が生じる可能性があり、自治体によるホテル確保も義務ではなくなります。
 それでなくても政府・分科会は、コロナでは「無症状者」も感染力を持っているにも関わらず、これまで「感染者にカウントしない=PCR検査対象としない」政策を取ってきたので、今後はそれが大手を振ってまかり通る惧れがあります。それでは感染拡大は収まりません。
 そもそも政令の改正で改善できる不具合点については、もっと早々にやっておくべきでした。それをこんなにもスローテンポで(しかもより悪い方向で)しか提起できないのであれば、首相の座に留まる必要は何もありません。安倍氏でなくては務まらないことは何もなく、逆に彼よりも有能な人は無数にいるのですから、一刻も早く退陣するのが筋というものです。

 それは兎も角、今回の方針は「新型コロナに対する国民のイメージを変え、消費拡大につなげたいというのが本心のようですが、そんな風に「コロナは怖くない」を演出してみても、国民から恐怖心が去らなければ、スエーデンの実例が示しているように決して経済活動は旺盛になりません。
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健康不安PRで同情集めた安倍首相 本日会見の酷い中身! 新型コロナをインフルエンザ並みに格下げか 感染防止を軽視し経済優先へ
LITERA 2020.08.28
 まったく姑息にも程があるだろう。安倍首相がついにきょう、約2カ月半ぶりに安倍首相が正式な会見をおこなうというからだ。
 いったいどの面下げて、としか言いようがない。安倍首相が国民への説明を無視しつづけたこの約2カ月半のあいだ、この国では何が起こったか。まず、東京都を皮切りに感染が拡大して「第二波」に突入、都市部では軽症・無症状者の療養用ホテルの確保が大きな問題となり、自宅待機者が増加したことで家庭内感染が広がった。さらに、世界の多くの国で検査拡充が図られるなか、この国では「症状があるのに検査してもらえない」という人が続出。3〜4月と同じ状況が再び起こってしまっている
 そんな状況の一方で、政府は「Go Toトラベル」という全国に感染を広げるキャンペーンを前倒しまでして決行。案の定、医療提供体制が脆弱な沖縄県をピンチに追い込んだだけでなく、「Go Toトラベル」の対象施設だった千葉県の旅館ではクラスターも発生し、14〜21日に利用した宿泊客359人の健康状態の確認や必要に応じて検査をおこなうという。
 政府の分科会は「7月末がピークだった」などと述べているが、26日の新規感染者数は全国で903人(NHK調べ)となっており、もし万が一このような数字を保ったまま秋・冬を迎えれば大変なことになる。しかも、厚労省はPCR検査の1日あたりの最大能力は5万9306件(25日時点)というが、この1週間をみても1日で2万件を超えるか超えないかという数字にとどまっている。

 この感染拡大の最中、ただの一度たりとも新型コロナにかんする会見を開かず、出席要求がされていた国会にも出ず、いまごろになって「会見を開く」と言われても、「遅すぎる!」の一言だろう。
 その上、姑息なのは、このタイミングで「健康不安」説を自ら煽り立てたことだ。
 本サイトでは何度も指摘してきたが、普通、国のリーダーの体調問題は求心力低下を招く大きな要因になるため、古今東西、体調不良にかんする問題ははっきりと否定するものだし、官邸も自民党も徹底した情報統制を敷く。少なくとも検査結果に大きな問題があ追加検査が必要な状況なのであれば、メディアに知られないようなかたちで検査をおこなうだろう。
 だが、政権幹部から自民党関係者まで、安倍首相の周辺はむしろ積極的にマスコミに情報をリークし、「健康不安」「重病の可能性」の情報が流れるような方向に事を運び、安倍首相も2度にわたって、事前リークにより大挙して押し寄せた報道陣に囲まれながら慶應義塾大学病院に入っていった。この露骨さをみても、健康不安」説を喧伝するためのパフォーマンスであることは間違いない。実際、この作戦は功を奏し、「安倍首相はコロナの陣頭指揮をとるという重圧のなかで闘ってきた」だの「もっと休んでほしい」だの「国民のために無理をしてかわいそう」だのといった同情が寄せられるようになったのだ。

 そして、同情を集めたこのタイミングで会見を開催する──。ようするに、この約2カ月半、国民を“見殺し”にして遁走したことを、「健康不安」説によってチャラにしようというのである。
 こう書くと、またぞろ「病人を叩いて楽しいのか」などと非難する者も現れるだろうが、安倍首相がどのような健康状態にあったとしても、約2カ月半も国民への説明を放棄したことの責任からはけっして逃れられないし、なくなったことなどにはまったくならないのだ。

新型コロナを指定感染症から外す、あるいはインフル並み扱いを要請していた安倍首相
 しかも、さらにとんでもないのは、このタイミングで、新型コロナの新たな「対策パッケージ」なるものを発表するということだ。「健康不安」説によって同情論が集まってきたところで逃げてきた会見を開き、大々的に新たな新型コロナ対策を発表することで「病を押して対策にあたるリーダー」を演出しようという腹づもりなのだろう。
 まったく、感染拡大の局面で何ひとつ対策を打ち出そうともしなかったのに何をいまごろ……としか言いようがないが、しかし、問題はその中身だ。
 安倍首相は会見で、ワクチンの確保のために予備費を計上することや雇用調整助成金の特例を年末まで延長する件などを表明するとみられているが、注目すべきは新型コロナの位置づけの問題だ。
 TBSの報道によると、会見で公表されると思われる対策案では〈新型コロナは「季節性インフルエンザまでの感染性を有していない」として社会経済活動と感染対策の両立を図る〉とし、その上で検査体制について〈各都道府県に対し、早期に新たな検査体制の整備計画を策定するよう要請する〉という。また、複数の報道では“新型コロナを感染症法上で「2類相当」と位置づけている点を見直す見通し”だとされ、一部では「指定感染症から外す」「インフルエンザ相当の5類にまで引き下げるのでは」という声も出ている。
 新型コロナを指定感染症から外す、あるいは「2類相当」から「5類」扱いにまで引き下げる──。もしこれが本当ならば、感染防止対策どころか、感染拡大をもたらしかねない大変な問題だ。

 そもそも「2類相当の見直し」について政府からは、2類は入院勧告の対象で軽症・無症状でも入院措置となり医療機関に負担がかかっているため、といった意見が出ているが、2類相当の現在でも軽症・無症状者は必ず入院措置がとられているわけではなく、ホテルや自宅での療養という措置も厚労省の通知によりとられている。逆に指定感染症としてレベルが下がったり、指定感染症から外すことになれば、いまは公費で賄われている入院費に自己負担が生じる可能性もある。そうなれば、これまでは入院措置がとられた人が入院を拒否することも十分考えられる。さらに、自治体によるホテル確保も義務ではなくなるのではないか。いや、それどころか、インフルエンザと同じような扱いになれば、濃厚接触者の追跡といった疫学調査がおこなわれなくなり、現在のようには細かく新規感染者の動向やデータが公表されなくなることも考えられるだろう。
 やたらと政府は「多くの人は軽症・無症状」と強調するが、新型コロナは重症化する恐れがあるものだし、軽症から急変し一気に病状が悪化するケースも多い。また無症状でも感染力があることが感染拡大の要因となっている。にもかかわらず、過小評価するような措置をとれば、感染拡大に手を貸すことになるのは必至だろう。

 実際、昨日27日におこなわれた関西2府4県の知事が出席した「関西広域連合」の会議では、「感染拡大防止と医療提供体制の確保に全力で取り組んでいる中、指定感染症のレベルを下げるのは時期尚早だ」とし、「2類相当」を維持するよう国に求める意見書がまとめられた。
 あまりにも当然の動きだが、しかし、安倍首相の動きはまったく逆だ。昨日27日放送の『ひるおび!』(TBS)では、“安倍官邸の代弁者”たる田崎史郎氏も、安倍首相の動きについてこう語っていた。
「先週、総理は厚労省などに、ワクチン対策、感染症の類型の見直しとか、そういうことについてパッケージで示したいんで案をつくってほしいと要請したんですね。それが昨日あたりようやくあがってきた」

感染防止より国民を感染に馴れさせる政策 最終的な狙いは東京五輪の強行か
 少なくとも、安倍首相が感染症の類型の見直し、つまり新型コロナを指定感染症から外す、あるいはインフルエンザ並みにするよう要請していたのはほぼ間違いない。安倍首相は感染防止ではなく、国民を新型コロナ感染に馴れさせ、「新型コロナなんて大したことがない」という認識を広げさせる作戦に出ようとしているのだ。この背景にはもちろん、国の負担を抑え、経済活動を優先しようという思惑がある。
「2類相当」から外せば、入院費は全額公費負担とはならずその費用を軽減でき、新型コロナへの国民の警戒感が緩和されれば経済活動に拍車がかかると踏んでいるのだろう。現に、「2類相当の見直し」について、内閣官房の幹部は「新型コロナに対する国民のイメージを変え、消費拡大につながる可能性がある」(読売新聞26日付)と語っている。

 さらに、その先には、「インフルエンザでオリンピッックは中止にしない」という論理で、オリンピックを強行するという青写真があると思われる。
 しかし、そのために国民の健康と命は深刻なリスクにさらされることになる。国民の同情を引いてから会見に出てくる姑息さだけでは飽き足らず、「第二波」がおさまらないなかで「やってる感」としてぶち上げる対策が、新型コロナの矮小化──。これがもし現実となれば、もはや正気の沙汰ではないだろう。(編集部)